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この本の中身に入る前に、まずこの装丁に引かれました。
軽すぎず重すぎず、全体にやわらかな印象ですね。 今回デザインを担当した、関まりこさんのことを少し聞かせてください。
普段はどのような仕事をしている方ですか。 |
関根 |
なんか、CDを30枚くらいきいてさぁ、その書評をしてるんだよ。 |
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毎日聞いてるんですか。 |
関根 |
毎日だって。そういう仕事が入ってるんだって。 |
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ほお、ライターさんなんですね。 |
関根 |
そお、ライターなんだよ。 |
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本のデザインもやるんですか。 |
関根 |
デザインは素人で、でも好きでやってもらってるんだけど、なかなか面
白いね。 |
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あれ以来、接点はないんですか。 |
関根 |
時々電話で話したりするけど、印刷なんか頼むよって言ってあるんだけど。
彼女がちょっと体調悪くて入院してたりとか、そうかと思うとこのあいだ「外国行ってきます。」とか言ったりとかしてさぁ。所沢に住んでるから、距離はそんなに遠くないんだけどね。
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教会繋がりじゃないんですよね。
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関根 |
うん、教会じゃないのよ。
俺の知ってる人がその昔彼女に英語を教えてて、その人アイルランドの人でU2の知り合いって人でね |
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ああ、確かそういう話しありましたよね。
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関根 |
そう、その人が彼女に英語を教えていて、カレンさんっていうんだけど、カレンさんが英語の先生で、関さんはその生徒だったんだけども、ある時その関さんのお父さんがちょっと難病で入院して、 |
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はあ。 |
関根 |
で、ちょっとこう、生死の境をさまよう状況になってね。そんな時にやっぱり命とか死とかいうことで、ちょっと落ち込んだことがあったんだ。 |
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はあ。 |
関根 |
そんな時にその事をカレンさんに言ったら、「私の友達で関根っていうのがいるから、会ってみたら。」
って言うんで会いに来て、 |
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あ〜。 |
関根 |
そんとき俺、コンピューター専門学校の校長してたんだけど、会いに来て、順天堂の話し聞いたんだ。俺順天堂に知ってる人もいるし、教授でね。それなんで、順天堂に会いに行ったんだよ。
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はい、はい、はい、 |
関根 |
で、すごっく喜んでくれて。 |
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へ〜ぇ。 |
関根 |
で、それが接点の始まり。
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へ〜え。 |
関根 |
それで、それでね、しばらくごぶさたしてて、
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そうですよね、3年くらいですか。
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関根 |
しばらくごぶさたしててね、ひょんなことから「たまには会いたいですね。」って、なんていうことなく会いに来た時、「あんた今、なにやってんの?」って聞いたら、雑誌のことをやっているというのと、そう言えばこの間雑誌の仕事で専門学校にインタビューに行ったんですよって言うんだよ。 |
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はぁ。 |
関根 |
「どういうとこ?」って聞いたら、「大阪の方のコンピューターの学校で」なんて言うんだよ。「じゃなに、あなたはそんなところでちゃんと聞くことが出来るわけ?」なんて言ったらさっ、「失礼な、私はこれでもコンピューター使って編集なんかしてんですよ。」だって。
「じゃあ、あなたそんなこと教えることに興味ある?」って言ったらさ、「う〜ん、なくはないけど、教えられるかしら。」って言うからさ、じゃあってんで、すぐその日にさ、そっからうちの学校に電話して「あのさぁ、編集の人って今先生足りてる?」って聞いたらさ、「ひとり足りません。」っていうからさ、
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すごいタイミングですね。 |
関根 |
うん、その日にさ、すぐ連れて行ってさ、「はい、この先生紹介するから。」
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はっ、はっ、はっ。 |
関根 |
それで関さん、それから一年間非常勤の講師やったんですよ。
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あー、そうなんですか、へぇ〜。 |
関根 |
そこで彼女が学生達に本を作らせる手法を見たわけ。タウン誌みたいなのを作ったんですよ、学生と一緒に。
で、最後までやり通したわけ。
それで、それを見てあっこの人は字を書くとかだけでなくて、こういうのを一つの成果
物としてまとめることができるんだなって思ったから、じゃあ、「俺、本書く時頼もっ」って思ったの。
ほんとは彼女は編集はやるけれども、表紙はどうします、なんて言っててさ、誰かに頼みますかなんて言うからさ「いや、あんまり金もないし、もしあなた出来るんだったらやってくれる。」って言ったらさ、「いいんですかね。」ていうから
「取りあえず私は他に誰も知らないし、あなたがいいと思うものを作ってみたら。」ということで、3つくらいサンプル出させて、色なんかはだいぶ変えたんだけど、うちの奥さんのコメントとか、望(むすこです)のコメントとか聞いてさ。でも、まあいいかなってのが出来た。
で一番安い製本屋さんを探してもらって、とにかく作っちゃった。 |
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あの本のデザインをしてるんですよね。 |
関根 |
してる、してる。
表紙を作って、中の挿し絵を描いて。 挿し絵も彼女がやってんだよ。
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自分のインスピレーションで、 |
関根 |
そう、そう。 |
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ちょっと言葉もつけて。 |
関根 |
そう、だからあれはね、極めて彼女の興味でもあり、センスでもあるんだな。
いいですよね。 |
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そうですね、ああいうのがないとちょっと教科書っぽくなってしまいますよね。
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関根 |
そうなんだよね、ちょっと遊び心というかね。
彼女は僕の原稿を公園かなんかで4、5回読んで、俗に言う畳込む部分っていうか、それでなんなのだという部分が書かれていないので、大至急それを書いてくださいっていうから、あっ、そういうもんなの、そりゃそうですよ、まずイントロダクションがあって、具体的にはこういうことってのがあってそれでどうしよって訳ですか?それでどうしようって部分については大至急文章に書いてください、それがあれば起承転結の結になるからって、そこまで指導してもらったわけ。 |
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そうですよね、それないとどうすればいいのってことですよね。
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関根 |
そうそう、それないとね。
多少の問題はあるけど、 本の出来栄としては非常に満足度高いですよ。それはキリスト教徒向けのキリスト教徒による、キリスト教用語をいっぱい並べた極めて自己満足的ではないものが出来たような気がして、非常に嬉しいわけです。
つまり宗教なんか全然関係ない人たち対して、読んでみたらどうって出せる本を作りたかったのね。そういう意味では僕の本を作るパートナーに関まりこさんがなってくれたことは非常に良かったわけ。キリスト教に反感を持っている人ではないけれども、俗に言うクリスチャンじゃないからその辺はシビアですよ。
それで本当はさ、その後に創世記の後半のヨセフの物語りとか、日々の聖句で書いたやつを付けようかと思ったのよ。 |
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あの本に?へーえ、そうなんですか。
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関根 |
それは、その中にやっぱり人間関係ってかさ、そういうテーマが出てるからね。それで、そういうのどうって聞いたらさ、物語としては全然悪くないんだけど、全体の流れでいくとあまりにも唐突だし、あまりにも宗教的なので、これはこれでまた本にしたらどうですかって言ってくれたんで、じゃそうすっかなって思ってる。ストーリーは面
白いんですよ。自分で興奮して書いてるんですよ。
ヨセフが売られて後々お兄さんと出会って、お兄さんと和解するっていうシーンと、あとヤコブとエサウの…、ヤコブがお兄さんを騙して、逃げて行って帰ってきて和解するっていうストーリーは、俺すっごい好きなの。
兄弟の和解ってのね。そんなこと日常生活の中で起こらないから、普段。そういう形の和解ってのは。 |
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そうですか、そうなるとやっぱりあの本とは直接関係ないような話しですよね。
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関根 |
そうなんだけどね。でも存在論的人間観ってのがわかると、和解が出来やすくなるってのを本当は言いたかったんだ。
でも、関さんの発想では、それ自体がもう、一つのストーリーになっちゃう、和解ってのが一つのストーリーだから、それはそれで別
のところで書けばいいんじゃないって言うので、和解って本を出せばいいんだなって。 |
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ふ〜ん。 |
関根 |
一つはヤコブとエサウの物語りにして、次をヨセフの物語りにしようという構想はもうすでにあるの。もう一つ新約聖書の中で、王様からものすごい額を返せって言われた男が、返せなくて、でも王様かわいそうでその男を赦してやるんだけども赦された男は外に出て行ってわずかばかりのものを貸した男を許せないって。それも並べてForgivenessって本を書こうと思ってるのよ。 |
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はあ、次の本の構想まで。 |
関根 |
そう、一応あるのよ。それは来年度ね。 |
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でも、その話しは絶対分けたのは正解だと思いますよ。
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関根 |
俺はクリスチャンではない、彼女の意見が聞きたかったし、一冊目の「いてくれてありがとう」が認知されれば、その流れで読んでくれるからいいのかなぁって思ってるんですよね。
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