<第13回 父親、アーサーホーランド>
俺、以前松山の幼稚園に呼ばれて、PTAと幼稚園の子供たちに
話したんだよ。
そこで、PTAの会長さんに「アーサーさんって生活感が全然ないですね。」って言われたんだけど、それって、いわいる“お父さん”とか“主人”とかいう匂いがしないってことだよね。
それがいいのか悪いのかは別として。
俺は家庭で子供のケアーするより、外で人と接してケアーしてる方が多いじゃん。
だから俺が家に帰ると、子供は「 お父さ〜ん、お土産〜!!」なんて言うけど、逆に「お土産、俺にくれ〜!!」みたいな感じなんだよ。
「俺はお父さんじゃないんだ。ここの長男だ〜ぁ!!」 「ずるい、ずるい!!」みたいに言われながらね。
まぁ、俺は俺のスタイルで、ありのままに子どもに接してるからね。
うちの家内はティーチャータイプだから教育者だよね。
だから子供たちは、そういうティーチャータイプと実践タイプの家庭の中で、親の背中を見て育ってんだよね。
俺の親父は仕事でストレス溜めて、帰ったら必ず一升瓶半分空けて寝てたんだよな、うん。
40代で脳溢血で倒れて57歳で死にましたからね。
そしてやっぱり、フラストレーションでそれこそドメスティックバイオレンスだったからね。
同じ家に住みながら両親がしょっちゅうケンカして、親父が飲み始めたら母親先に寝ちゃうってね、そういう家庭で育ったわけ。
自分の場合はどうかって言うと、俺は家にほとんどいないんだよ。
でも帰ってきたら、歓迎されるよね、「お父さ〜ん」みたいにね。
いないほうがねぇ、味方作るんだよね。
母親が敵になっちゃって、俺が味方。
俺がたまに小遣いあげたりすると喜ぶじゃん。
とはいうものの、俺の家庭ってのは正直言うとやっぱり母子家庭みたいだなぁ。
俺の家内も、お父さんお母さんが宣教師で、お父さんはいろんなとこ飛び回ってたから、そういう部分の免疫はあるんだよね。
そして、彼女はアメリカ人で自立精神豊富だから、周りに左右されずに生きていくっていう自分の生き方を持ってるんですよね。
で、俺も個性あるし、要はやっぱり信頼関係だからね…。
俺の働きっていのは、フットボールでいうとオフェンスだよね。
家庭ってのはディフェンス、守りの方だよね。
俺は出て行くタイプ。彼女は守るタイプだからね。
そのポジショニングをお互い理解してる。
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