年末の格闘技で
吉田がホイスグレイシーと戦っただろ。
結果は引き分けだったけど、
試合はグレイシーが
完全にコントロールしてた。
グレイシーは柔道着を着て
入ってきたんだけど、
それを脱いで上半身はだかで勝負してきた。
吉田は、まずそれでパニクったよね。
そして始めから終わりまで
完璧にコントロールされた。
吉田にとってあの試合は、
屈辱だったと思うよ。
だって、100回やっても
勝てると思ってた相手に、
引き分けとはいえ、
完璧にコントロールされてたからね。
だから、勝負ってのはわからない。
勝てると思っても負けることがある。
ぜったいにガードを下げられない。
どんな相手に対しても、
心技体、命をかけるってのがないと。
自信過剰になってると、
それが負けにつながる場合もある。
人前でメッセージする時に考えるのは、
どうやったら相手に伝わるか。
メッセージするってことは、
「人生は大変でも、君は生きていけるんだよ。」
ってことを伝えたい。
音楽なんかでも、
人を癒したり励ましたりする。
メッセージもその両方があるんだよ。
チャレンジを与えることもあるし。
あんまり上に立って語ると、
独裁者みたいになるし、
かといってやさしく語り過ぎると
心に響かない。
その部分って、難しいよな。
聞く人もいろいろで、
素直に受け止める人もいるし、
偏見を持って聞く人もいる。
だから格闘技といっしょで、
どんな相手に対しても精一杯やる。
ピッチャーがマウンドに立った時に、
回りのやじうまの声を気にしてたら
バッターと勝負出来ない。
野良犬は吠えるけど
キャラバンは進むぜ、ベイビー!
吠える奴には吠えさせろ、
みたいな感じだよ。
阪神タイガースのファンが
ワアワア言ってる中で、
ピッチャーはいかに冷静に
タイガースのバッターと
勝負出来るかは、
そいつ自身の器量だね。
そこでパニクるようじゃ 、
ピッチャーとして失格なんだよ。
だから、何事にも
使命感を持つってことが大事。
自分はなんのために
このマウンドに立っているのか、
っていうのをね。
俺の使命ってのは、
生きる喜びと感動、
生きていくための自信、
そういうものを人のハートに投げ込むこと。
それは自分が上に立って、
優越意識を表現する
独裁政権の場じゃないよ。
同じ人間として、
一緒に人生を力強く、
希望を持って歩んで行こうって
ことなんだ。
他人に期待するんじゃなくて 、
自分自身が変われば
世の中が変わるんだよ、って
いうようなことだね。
そういうメッセージを、
どんな場所でも
ちゃんと表現出来るようにするために、
俺の中のアーティストの部分が
絶えずそういうことを考えてるんだよ。
そうじゃないと出てこないよ、
言葉ってのは。
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