おそらく具体的には、王が農地を大切にし、そこで働く農夫たちを大切にし、そこからの収穫を大切に分かちあい、その収穫を手にした人たちが収穫を喜び、土地を愛するという循環が語られているのだと思います。
日本の農業政策はどうなっているのか、語る資格など私には、なにもありませんが、わずかに残された農地が宅地化されている現状の多さに驚かされます。最初から農地、耕地の少ない日本で、その政策や計画が不安定になっている場合、収穫を喜ぶはずの土地のお祭りだけは、形が残ってもその実態がどんどん見えなくなってしまっているような気がします。
収穫の喜びを知っている人間がこの国にどれだけいるのだろう。食べ物がどんなプロセスで手に入るのか真剣に考えている人がどれだけいるのだろう。農薬を使っているか、使っていないかということだけに興味が集中して、耕地はあるのか、それはどういう政策のもとで展開されているのか、そういうことが、わからないまま、豊かになったような錯覚を持たされて生きているような気がしてなりません。消費だけに興味がもたれ、生産や労働が軽蔑される社会には、あまり未来はありません。必ず、物は底をつく日がきますもの。
「母なる大地」という感覚をどうやったら取り戻せるのでしょう。小さな庭に、小さなお花を育ててみるのも良いことなのかもしれません。そういう「いのち」に感動する心を育てたいですね。
祝福がありますように。