鈴木雪夫、ロシアへ行く
第2回「プロローグ、その2」
編集 その合唱団自体は行ってたんですか。

鈴木

いや、初めて。
その合唱団は何年もかけて
晩祷という曲を作り上げてきたんですよ。
いまでは、どこの国の誰が演奏する
というようなことを越えて、
音楽として「あっ、いいなあ」
ってとこまで成長してるのが、
はっきりわかるようになった。
そういうレベルに達せずに、
ただロシアに行って
日本の曲をやっても、
それだけだから。

編集 ふ〜ん。
鈴木 スエーデンの合唱団が
やってるのがあるんだけど、
それと同じ次元で
聞けるようになったんですよ。
以前は「あ、これは日本人だなあ」
っというのがわかった。
言葉の問題とか精神性の問題に対する
クオリティがだんだん上がってきて、
本場ロシアでやってみようという、
そういう発想だったようですね。
日本で何年も続けてきて、
その結果として、
ロシア人の前で
ロシアの曲をやって、
「どうだ!」っていう。
編集 じゃあ、向こうから
やってくれというとこではなくて、
こちらからのアプローチなんですね。
鈴木 そう、
こちらで企画して、
会場の予約をして、
文化庁に行って助成の申請をして。
助成がおりるのには
時間がかかるから、
ともかく行ってしまおうと。
僕は透析を受けてるんだけど、
ロシアでも透析を受けられるように、
外務省を通して
あちらの日本大使館に
現地の病院を探してもらわなければならない。
先方からは
「どうしてそんなリスクを背負った人が
来なきゃいけないんだ。
普通の健康な人だけで来ればいいじゃないか」
ってことになったらしいですよ。(笑い)
編集 確かにね。
鈴木

だけどトロイカとしては、
僕がいなけりゃ
曲が成り立たないから
どうしても連れて行かなきゃいけない。
そういうことで向こうで3回透析を受けた。

編集 え、3回も?
鈴木

うん、モスクワで1回、ペテルブルグで2回。

編集 それは外務省経由で手配してたんですか。
鈴木

うん、ロシアの透析状況は
わかんないですからね。
現在透析を受けている病院の先生が、
色々調べてくれたくれたのです。
大使館、領事館とのやりとりも
この先生がやってくれました。

…つづく
これがラフマニノフ
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