鈴木雪夫、ロシアへ行く
第5回「モスクワ、3日目」
編集 向こうのコンサートは
普通に夜始まるんですか。

鈴木

そうです。
冬場が音楽シーズンなんだけど、
そんな時期は簡単に借りられないんだな。

ここが音楽院。この時期のロシアはどこもちょっと暗い。

オフシーズンのコンサートで、
そんなにいい日にちでもない
というのもあって、
その音楽院では
100人くらいしか入らなかったかな。
一番前にかわいい感じの
おばあちゃんがいて、
晩祷が始まると
言葉が通じてんだね。
いい場面がくると、
祈るように手を組んで
聴いてんだよ。

編集 へ〜え。
鈴木 その様子を見てたら、
ちゃんと聴いてくれてるんだ、
ってこっちが励まされた。
それが嬉しかったね。
結果的には、
終わってみたら
「ブラボー!」だった。
100人くらいだったけど、
十分でしたね。
音響的にも
すごくいいホールで、
低音が響いて
音をはじかない。
完璧なホールだったから、
そこで演奏するということは、
下手なこと出来ないんだよね。
ラフマニノフもそこで教えてたような、
そのくらいいいホールだった。
とにかく、感激でしたね。
巨匠ラフマニノフと、オクタビスト鈴木雪夫
編集 現地の取材が
入ったというのはその時ですか。
鈴木 そこじゃないです。
次のペテルブルグ。
そこにも音楽関係の人とか、
いろんな人がいたらしいんですけど、
僕らはあまり話さなかった。
それで、コンサートが終わったら
11時56分という夜汽車で移動。
編集 えっ、終わって移動!
鈴木

僕とロシア語をしゃべる事務所の人。
2人だけで。

編集 つらそうですよね。
他の人は打ち上げ?
鈴木

まあ、のんびり飯食って
ビール飲んで。

編集 でも、夜汽車もいいか。
ロシアで夜汽車ねえ。
鈴木

結果的には、よかったよ。

…つづく
これがラフマニノフ
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