編集 |
毎年行く予定はないんですか。
|
鈴木
|
今のところないけど、
もしかしたらありうるかもね。
評判が悪かった訳じゃないからね。
|
編集 |
日本でもぜひ多くの人に
知ってもらいたいですね。
スラブ語で歌うというのは
あんまりないでしょう。 |
鈴木 |
ないです。
細かいことを言うと、
母音の深さとかは
完全ではないですけど、
子音の発音なんかは
十分に理解してもらえる
語学力はついてた。
修道院のコンサートでも、
ブラボーだったしね。 |
編集 |
すごいですねえ。 |
鈴木 |
長くやってればね。
言語のことでも
みんな自分たちで
厳しくチェックするからね。 |
編集 |
確かに、日本での歴史があったから
出来た部分もありますね。 |
鈴木 |
今年はロシアとの友好100周年
ということもあって、
それに関連したイベントを
いろいろやってるんですよ。
文化庁の助成を受けての公演も
たくさんあるけど、
だいたいは能のような
日本の伝統芸能。
ロシア正教の音楽をやったのは
僕らだけだった。
|
編集 |
向こうの人にとっては、
自分たちの文化を
きちんと消化して
やってくれているというのは
嬉しいですよね。 |
鈴木 |
結果的にはそうでした。
でも、最初は「やれるの?」
って感じでしたね。
|
編集 |
そりゃ、そうだ。 |
鈴木 |
70年におよぶ社会主義の中で、
ロシアでは宗教音楽を
やっていなかったというのが、
私たちには有利だった。
ソビエト時代にも
ロシア正教の歌を歌い継がれていたら、
また別の土壌があったかも知れない。
でも70年という間が
スポッと抜けてるわけで、
ここ10年くらいで
やっとロシア正教の音楽が
復活してきてるわけだから、
歴史が浅いんですよ。
数年前、ICUのOBの合唱団の指揮者が
ロシアに行って、
むこうの教会の眠っている楽譜を
いっぱい持ってきたんですよ。
ラフマニノフやチャイコフスキーは
有名ですけど、
そうじゃない作曲家の曲は
革命の時に名前も楽譜も
消されてしまったんですよね。
亡命したり、餓死したりとかでね。
|
編集 |
すごいですねえ。 |
鈴木 |
そういいう作曲家の楽譜を
日本に持ってきて、
日本初演した人がいるんだけど、
そういう音楽は
ロシアの人にとっても
新しいだろうと思うんですよ。
いままで接したことのないような合唱曲だし、
なんとも素晴らしいですよ。 |
編集 |
そうか、面
白いもんですね。 |
鈴木 |
毎年10月にやってるコンサートも、
普段あまり聴かないような音楽だから、
ぜひ聴いてみてください。
いまではあまり宣伝しないのに、
毎年その時期には
その曲を聴こうという人が
確実に増えてますから。 |
編集 |
そういうのが、
今は信用されますよ。
宣伝しなくても
1000人くらいは来るんでしょ。 |
鈴木 |
一度聴いた人は
必ず来るというふうになってきてる。 |
編集 |
雪夫さんが日経に出たというのは、
始まって以来の
大きなプロモーション
なんじゃないですか。 |
鈴木 |
今回はオクタビストのことと、
晩祷の合唱をやる
ということで記事が出てますからね。
今年の秋は結構、
また増えるんじゃないかな。 |