鈴木雪夫、ロシアへ行く
第15回「帰国の途、その3最終回」
編集 ある意味
どこもゆっくり見てないですもんね。

鈴木

見てないですね。
唯一観光出来たエカテリーナ宮殿でも、
これ以上歩くと
今晩のコンサートにひびくからだめ
っていうのがあったからね。
エルミタージュの美術館は
見たかったなあ。
でもなんせ広いから
俺の体力じゃ、
ちょっと無理だ。

編集 泊まりがけでいかないと。
鈴木 病院もさ、
玄関入ってから
透析を受ける場所ってのが
とても遠いんだよ。
途中で道路を3つ横切るくらい、
とおーくの方にある。
とにかく広い!
病院なんかも
使ってないところが
たくさんあるから、
結構暗いんですよ。
ソビエト時代に
そういうものを
どんどん作ったんですよね。
特にスターリンの時代に、
そういう「すごいぜ!」
っていう建物を作ったわけだよ。
道路は道路でめちゃくちゃ広いし。
滑走路に使うらいしけど。
なんでこんな無駄があるの
って感じだけど、
そういうのは全部モスクワですよ。
ペテルブルグは
昔の都だからまた違う。
古い町並みが残ってるし、
人間もヨーロッパに近い。
まあともかく、
無事帰ってきてよかったとは
思いますけどね!
ロシア正教の音楽は
面白いから聴いてみるといいですよ。
編集 そうですね、ぜひ聴いてみます。
お薦めは?
鈴木 お薦めは「晩祷」ですよ。
なんといっても晩祷ですよ。
いろんな晩祷があるんだけど、
ラフマニノフのは
やっぱり素晴らしいです。
教会のなかで
延々と歌い嗣がれてきた典礼を
司祭が語るわけなんだけど、
それは1000年ちかく
歌い継がれてきた唱法と様式。
言葉もほとんど同じ。
それをラフマニノフが
合唱曲として新たに作曲した。
そのメロディーも素晴らしいし、
音もすばらしい。
ヨーロッパじゃないし、
アジアでもないし、
その両方のにおいがする。
編集 それはぜひ入手してみましょう。
ありがとうございました。
鈴木

いえ、いえ。

JAL機内食のビーフカレー。うまそうです。
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