私たちの生活

はじめまして。私、ユミコと申します。家族はダニエルという名の夫が一 人。
平穏無事に暮らしたいはずなのに、私たちの生活、何故か波乱含みでドタバタしています。極めつけはつい最近の事、ダニエルが糖尿病と診断されてしまったのです。まだ、三十代半ばの若さです。いったいこれからどうなるのでしょう?
第2話
糖尿病・・・。  
今や日本人は十人に一人くらいの割合で患者or予備軍なのだそうだ。
しかも年々増え続けており、2010年には
2倍近くになるだろうと予測されているとか。
ご存知のように、糖尿病は血液中の糖を下げるホルモンである
インスリン が足りなくなったり、あるいはうまく働かなくなったりして、
恒常的に血糖値が高くなった状態を言う。

初期の頃は別段変わった事もないので、
健康診断などで血糖値をチェックしない限り分からない。

が、次第に、 喉が渇く、しょっ中お腹が空く、むくむ、足先がしびれる、
トイレの回数が増える、疲れやすくなる・・・などの自覚症状が現れる。
けれど、これだって、知識がなければ「この頃調子悪い なー、ストレスかなー。」
なんて見逃してしまいそうな徴候だ。

こうして、血糖値が高い状態が放置されると、次第に血管がやられてしまうらしい。
その結果、身体のあちこちに様々な変化が起こる。
これが合併症と呼ばれるものだ。

目の網膜がやられれば、眼底出血により、場合によっては失明。
腎臓がやられれば、悪くすれば透析の生活。
足先に血液が行かなく なれば、壊疽を起こし、時には足を切断・・・。
あぁ、なんて恐ろしい病気 なんだろう。


と言っても、糖尿病はひとくくりにはできなくて、
「I型(インスリン依 存型)と「 II 型(インスリン非依存型)」とがあるそうだ。

「インスリン依存型」では、文字通りインスリンを注射しないと
生命が危 険にさらされてしまう。
自分の体内でインスリンを作り出す力が失われているからだ。
若い頃に発病する事が多く、しかもその始まりが非常にはっきりしているのだそう。

これに対して「インスリン非依存型」というのが、
いわゆる「生活習慣病」として耳に馴染んでいる前述の糖尿病で、
糖尿病患者全体の95%を占めているとか。

最近の私たち、あれこれ本を買い込み、
あたかも、にわか仕込みの糖尿病博士なのである。

ま、にわか仕込みであるから、あんまり細かい事をつっこまれても
ボロが出て困るのだが、それにしても身体の中のメカニズムってホントにすごい。

普通、私たちが食べ物をとると血液の中の糖分が上がる。
糖はエネルギー源だから、とても大切なものだ。
が、血液中の糖の濃度が高すぎるのは危な い。
そこですかさず、すい臓からインスリンが分泌される。
インスリンは細胞に対して「糖を取り込めよ」という信号を伝える役割で、
これが正常に働くことによって、血液中の糖の濃度が正常に保たれる。

ところが、インスリンがいくら分泌されていても、
その信号が正常に伝わらない事があるのだそうだ。
結果、血糖値は相変わらず下がらないので、
すい臓は「もっともっと」と、一生懸命インスリンを作り出す。
そして、働き過ぎたすい臓は、いつしか疲れきってしまい、
インスリンを充分に作れなくなってしまうらしい・・・。

実際には「インスリンはあるが、うまく使えない状態」、
「インスリンそ のものが不足している状態」等、十把一絡げにはできなくて、
それぞれの症状に応じて処方される薬も違うそうだ。

それにしても、なんて健気なすい臓だろう・・・。
私たちが、「もうヤダ、この脂肪。」なんて邪険に扱っているお腹の奥に、
こんなに健気なヤツ がいたなんて。
しかも、食べたら食べた分、きっちり必要なだけインスリンを作り出す。
黙っていい仕事をしてるヤツ。
あま〜いケーキを食べた時も、夜中のラーメンをむさぼった時も、
ひどい主人を責める事もなく黙々と働き続け、
ついに力尽きてしまったなんて・・・。  

ごめんね、すい臓・・・。  

いや、私のすい臓はまだ元気なはずなんだけど、
でも、思わず「ごめ ん」って言いたくなった。
だって、食べたい時に食べたいものを食べたいだ け食べる。
まるで当然の権利のように思っていたから。

見かけを気にしてダイエットに走った事はあっても、
すい臓のことを思って節制しよう、なんて考えたことはなかったなぁ・・・。
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