鈴 木 |
いま考えてるのは、いろんな所で音を録っておく。
30年来の友達がいるんだけど、その人が要するに「音を録っておけ」と。
ステージで録った音を残すようにしようと。
それを集めたもので音源を作っても、今は構わないんだからって。
それも一つのスピリチュアルだなと思うよ。
ステージだと、だめもよしも一発でやらなくちゃならないからね。それを集めて出していくかと…。
|
編 集 |
次ぎの構想もあるんじゃないですか。 |
鈴 木 |
ないことはないんですよ。どうやって実行するかというだけの話しで。
|
編 集 |
なるほど、よかった(笑い)。もう作りたくないって言うのかと思った。 |
鈴 木 |
いや、作るのはすごい勇気がいるなあ。
女房がずっと言ってることなんだけど、音源を持ってない歌い手なんてだめだよって。
自分たちの歌を入れたCDを作るということをやらない音楽家は嘘だと思うって言うんだ。
4人でやってる時に1枚も作んなかったんだよね。作れなかったのよ。
今聞くとまあまあ聞けるんだけどね。
でも女房は聞いてわかってたんだよね、「この人たちにはCDは作れない」って。
僕がひとりで歌うようになってもさ、何にも伝わってこないわねって言われたからさ。
もー、グサッだよね。
おれはこれでお金を稼いでんだよって言うんだけど、「お金を稼ぐことと、伝えるってことは違うと思うよ。」って言うんだよ。
そう言われるとさ、さっきのスピリチュアルってなんだろうってとこまで遡るんだよね。ああなんにも伝えきってないなあって。 |
編 集 |
自分で感じてる分だけ、人に言われるとねえ。このCDが出来た時はなんか言ってました? |
鈴 木 |
まあ、いろいろあってもこれを作ったのは女房のおかげなんですよ。
やっぱ自分の恥さらしみたいになっちゃうけど、ここまでやれたのは女房の後押しがあったからですよ。女房は厳しいこと言うんですけどね。 |
編 集 |
じゃあ、やっぱりこういう形に残すということはよかったじゃないですかねえ。 |
鈴 木 |
そうなんです。その後の展開は全然違ってきたしね。 |
編 集 |
やっぱりねえ、ミュージシャン見て、うらやましいと思いますよ、CDを残すわけじゃないですか。
その人が死んだってCDは残りますからね。 |
鈴 木 |
そうなんですよね。
だからその時が一番いいんだと思ってやっていかないと、これから何年か後にもっといいものをってのはないよね。
その時、その時点で自分は今最高のものというのをやっていかないと。
そしてよくも悪くも、誰が何と言おうとそれは残っちゃう。 |
|
…つづく
|