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今回の作品はこれ!

鈴木雪夫
「Feel The Spirit+2」

芸は身を助すくという言葉がありますが、この人を見ているとなんだかそんな感じです。

鈴木さんのプロフィールはこちら

私の知り合いのCM音楽制作会社「スーパーボーイ」のサンプルCDに、鈴木雪夫さんの声が登録されています。今回スーパーボーイの御好意によりその音をここで披露することが出来ました。この原稿も本人が考えたらしいです。笑ってください。↓↓↓

第9話です。
レコーディングでの一発録りについて、前回は自分の恥じをさらすようなものだと鈴木さんはおっしゃってました。
まあ、確かに何回も録音して、ベストなものをつなぎ合わせるという作業もありますけどね。
何年も歌ってきている人なんですけど、やっぱり繊細なんですね。

編 集 はっ、はっ、はっ、そうですかねえ(笑い)。でもやっぱり一発録りには一発録りのよさがあるしねえ。
鈴 木

それは頭ではわかってんだけどさあ、やっぱ自分で後で聞いてみると「はぁ〜」って思うじゃん。

編 集 思います?
鈴 木

思いますよー!だから、あそことあそこを繋げてればとかさ、思うんだよ。
で、同じ曲でも何テイクかあるわけだから、このテイクのここと、あのテイクのここを繋ぎ合わせてとか思うんだけど、全体を聞いてこのテイクの方がいいかなあってことで選ぶしかなかった。
でもそれでいいと思ってやってたんだけどね。
繋ぎ合わせるのは僕の声にはちょっと合わないかなあと思ったからね。

編 集 CD作る人って、最終的にどのくらい満足してるのかなっていつも思うんですけどね。
結構、その場では使い果たした感じするけど、やっぱり悔いは残るんですよね。
鈴 木 だろうと思うな。でもいいだろ、いいだろうって言える人もいるもんね。 なんていうんだろ、「自分の裸を見る」みたいな感じだもんね、自分の声ってのは。ぞっとするから。
編 集 そうですかあ?
鈴 木 冷静になれないから。第三者になれないでしょ。
編 集 えー、僕なんかはこのインタビューの録音を聞いて自分の声にぞっとしますけど、鈴木さんはプロでやってるんだから…。
鈴 木 だから余計にだよ。
あー、こんなもの残しちゃったなあって。
夢と理想とで、こういうのが一番いいって音があるからでしょうけど。
編 集 生意気なようだけど、「まだまだ」って思う気持ちはすごく大切だと思うんですけどね。
鈴 木 出来てないってのを、なんていうかなあ、こう、封印するよね。
しばらく聞けないなあって。
もう一回改めて聞き直すってのは、すごく時間かかるね。
カルテットの昔のテープも、いくつも残ってるんですよ。
終わって10年たつんですけど、このごろやっとですよ、冷静になって聞いてんの。
編 集 そっかあー(笑い)。じゃ、このCDもあと8年くらいしてから聞く?
鈴 木 だから、こう、あきらかにあの当時より出来るか出来なくなっている自分がいて、「あの頃はまだあんなことも出来たんだ、こんなことは出来なかったんだ。」という、客観的に見られる時期が来るのかも知れない。
あ、声が若かったなあとかさ。
今だったらこういうことが出来るなあって思って聞ける自分がいて、やっと冷静になって聞けるところがある。
編 集 なるほど。みょーに説得力ありますね。
 
…つづく
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